ボロボロの外壁や階段、設備は別にして、
  青山アパートの実際的な構造耐久性はどうなんでしょうか?

■歴史的建物を診断・治療 思い出・共感消さぬため
西沢英和さん(50) 京都大工学部講師 建築構造研究者
朝日新聞2002年05月

 現役で活躍できる建物が、壊されるのを見過ごせない。鉄筋コンクリート造りで、建て替えを検討中の東京・旧同潤会大塚女子アパートメントや滋賀県・豊郷小学校といった戦前の近代建築をはじめ、戦後の名建築などの修復・保存に東奔西走する。

「歴史的建築物、特に戦前の鉄筋コンクリートの建物は、耐震性で劣るという先入観があるが、実は違う。阪神大震災では戦後の建物に比べ構造上の被害率は小さかった。戦後より丈夫に造ってある。」

老朽化した建物の健康、つまり構造を診断し、元気にする建物の"医師"。まだ研究者の少ない領域を切り開いてきた。

これまで"治療"をした建物は、米国の建築家ライトが設計した兵庫の旧山邑邸をはじめ、京都の清水寺三重塔、横浜の新港埠頭赤れんが倉庫など50件近い。平城京朱雀門や薬師寺大講堂の復元にも参加した。現在、広島の原爆ドームや京都の西本願寺御影堂などの修復保存に取り組む。

町屋など古い住宅が壊されそうだと聞けば、休日返上で駆けつける。「戦前の住宅は約百万戸に減った。このままでは、私たちが思い出や、歴史的共感として蓄積してきた景観という文化が消える」

京大工学部の学部生時代、東大寺の昭和大修理の調査に参加した。伝統的な建物が、土と木と竹だけで千年立ち続ける。そんな「超現代的システム」に圧倒されたのが、研究のきっかけだった。それから30年。夢は膨らむ。各地で活躍した無名の天才たちが極めた建築の技を集め、「文化財構造大学系」としてよみがえらせたい。

「21世紀は環境に配慮し、経済効率も良いリサイクル、リフォームの時代」出番が増えそうだ。

(盛)