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■20020430 朝刊/関西版
29面(家庭覧)
見納め寄稿
東京・青山 同潤会アパート
「なくなっちゃうって、ほんどうですか?」
高級ブランド店が並ぶ東京・表参道。3月、ケヤキ並木に面した出窓に、そんな看板が掛かった。75年の歳月を重ねた同潤会青山アパートを被写体にした写真展。6日間の会期に500人以上が訪れ、会場の6畳間は足の踏み場もなくなった。
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「こんなに多くの人が思いを寄せてるなんて」。企画した専門学校生田中元子さん(26)と大学院生大西正紀さん(24)は口をそろえる。ネット上で署名を集めるなど、2年前から保存を訴えてきた。
同潤会アパートは関東大震災からの復興を目的に造られた。鉄筋コンクリートの集合住宅の草分けだ。16カ所あったうち残るのは半数以下。青山では十数年前から空き部屋にブティックなどが入り、おしゃれな名所となっていた。
森ビルを中心に、建築家の安藤忠雄氏を設計に迎えた再開発計画が進む。解体は来年早々にもはじまる見通しだ。約20世帯がここで生活を続けており、終戦直後から住むという70歳代の女性は水道タンクの保守の苦労から、建て替えに期待を寄せる。
「残せないということは敗北ではないのか」。田中さんらは保存運動を紹介した席で、こんな指摘を受けたことがある。建築界からは保存を求める声があまり盛り上がらず、力の限界を感じていた時だった。が、会場のパネリストの一言で吹っ切れた。「解体が確実でも、景観について考える機会を設けることこそ価値があるんじゃないか」
写真展では、ビルの解体と新築が交錯する東京の風景を自ら撮影して上映した。「地権者でも開発業者でもない『第三者』が声をあげるきっかけは大切にしたかった」
来訪者が惜しむ声や懐かしさを記してくれたカードは大切な記念品だ。その厚い束は、建築を学ぶ2人に、都市の景観はだれのものかという命題をつきつけている。